建築業界歴がいつのまにやら20年を過ぎてしまったあささんぽです。
異業種から建築業界に立ち向かってきて去ってゆく若者が多いのでちょっと今日はこんな記事を書いてみようと思います。
建築業界のイメージと現実
ずっと建築(個人邸・住宅・外構メインです。)に携わって来ているので外から見たイメージがどうなのか少し分かりにくいですが、面接時の志望動機やまわり聞くイメージでお話しします。
イメージ
「ちょっときついかもしれないけど、クリエイティブな仕事ができるイメージ」
「一生で一番高い(かもしれない)買い物を任せてもらってお客様に喜んでもらえる。それって最高」
「やったぶんだけ給料がもらえる。高給取りなイメージ」
そんなイメージを抱いているんではないでしょうか。
違っていたらすいません。
現実
確かに間違ってはいませんが、
ちょっときつい。かなりきつい。クリエイティブ(?)ある意味クリエイティブかもしれませんが、ハウスメーカーの建築においてはある程度規格や仕様が決まっているのでそれほどクリエイティブでもない気がします。
敷地に合わせて建物の大きさを決めの間取りをなんとか当てはめて行く作業なので作り上げる感は少ないかも。
お客さんに喜んでもらえる。(これについては後述します。)
高級取り。やればやっただけ給料は取れますね。そこへたどり着くまでが結構大変かもしれません。才能と知識と折れない心が必要です。
住宅業界はクレーム産業
住宅業界はクレーム産業だと言われています。
何故なら請負契約であり、出来ていないものを契約後に工事を伴って作るものだからです。
実物を見てから決めることが出来ないんですよね。
テレビは同じものを家電ショップで見ることが出来ます。カーテンや照明器具も見ることができます。
でも住宅は似た間取りのものを現地見学会で見る事は出来ても、同じものは見れません。外壁やクロスやフローリング材をサンプルで見れても実際にすべてを見ることはできません。
今まであったクレームをいくつかあげて見ます。
「なんかイメージと違う。」
これは困りますね。あんだけ打ち合わせして最終決定したものにたいしてイメージと違うと言われましても・・・
「使い勝手が悪い。なんで言ってくれなかったの?プロでしょ?」
階段の高さがちょっと高い。回りづらい。キッチンの冷蔵庫の間が狭い。
一生懸命間取りを考え、なんとか納めても使ってみたら使いづらいところ出てきたりします。
その他自分の範疇を超えて起こってしまうクレーム
建築地の隣の住人がクレーマーで「音がうるさい。今すぐ工事を止めろ!」と言ってきたり、
職人のミス(完全こちらが悪いんですが)で一点ものの商材を壊した(あわわ)、コンセントが付くべきところに付いていないとか。
設計ミスで壁が綺麗に納まらないとか。
後は施工業者が複数業者が入ります。基礎屋、大工、サッシ屋、瓦屋、設備、クロス、電気、水道、ガス、その他もろもろ。
腕のいい人から、ちょっとよろしくない人。腕はいいけど気が短い。現場でいつも下の子に怒鳴っている。
まあ行儀の悪い業者はかなり減って来ていますが、それでもまだ存在するんですよね。
繁忙期はその2流を使わざるを得ない場合もあるんですよね。
そんな業者に限って礼儀がなってない。施主が来たのにあいさつもしない。現場も汚くする。
「何あの業者。おたくはあんな業者をつかってるの?」
書いているだけで背筋が凍ります(笑)
工事の数だけクレームがあると思え!
いちいち思い悩んでしまう人は向いていないかも。
ある程度諦めと開き直りが大切です。
もちろん施主に対する誠実な対応は必要です。
そして施主の満足度100%は多分ありえません。
思っていたより良くなかった部分は絶対出てきます。
それでも総合的に営業マンが丁寧にフォローをしてくれた。
職人・大工さんが気持ちよく工事してくれた。あいさつをしてくれた。
最後にちょっとしたサービスをしてもらった。
などそんなところが最終的な満足度につながります。
総合的な満足度が高ければ途中のクレームは致し方ない部分もあります。
こんな人は住宅業界には向いていない。
全てを抱え込んで思い悩んでしまうような人は正直向いていないと思います。
自分はしっかりしていても、自分以外の原因で問題が起こることが多々あります。
冒頭に書いたお客様に喜んでもらえる。
これ実は営業マンが一番施主と接する機会が多かったり、最初の窓口なので喜んでもらえそうな気がしますが、実際には営業マンなんて大した役割を果たしていないんではないかな。
と個人的には思っています。
結局施主は工事の契約をして思い通りの家がきちんと建って初めて満足をするので、実は現場や工事が一番大事なんですよね。
なので契約に至るまで非常に良好な関係を築いたのに工事がグダグダっとなってしまうともうひどいものです。
逆に良好な関係を築いた営業マンに向かって騙しやがったなこのやろう。くらいに思われる可能性もありますし、実際にそのような現場もありました。
一生懸命提案して、裏切り者扱いです。
まともな神経をしていたらやってられません。
ある程度、こまやかな気配りは必要ですが、問題が起こった時には申し訳ないと思いつつ、ただただ冷静に淡々と問題に対処できないような人はきっと苦労してしまうんではないかなと思います。
最後に
常々思うんですけど、最初から出来ているもの売る仕事につけば良かった。
何年経っても、どれだけ知識がついてもクレームは無くなりません。
まあしょうがないな。と思いながらやっているんですけど、なんで俺は42歳にもなって職人のしでかしたヘマのせいで客にボロカスに言われてるんだろう。
「申し訳ございません。すぐに対処致します。」
時々嫌になったりします(笑)
当然知識を付ければ、面白味もありますし、お客さんに喜んでもらえることの方が多いですよ。
一部本当に理不尽なことを言ってくる人や変な人もいるので、そんな人には当たらないように祈ったり、危険を感じたら見積高めに出して断ってもらうように仕向けたりしています(笑)
ただ思っている以上に多分大変な仕事ではないかなと個人的には思っているので、みなさん十分考えてから就職をされたほうがよいと思います。
どうですか?住宅業界。楽しそうですか?
コメント
材料メーカーも一緒です。事前に商品説明や現場指導を行っても自称職人=作業員の勝手な判断で施工し、トラブルとなります。現場でクレーム対応し、こちらに非がなくともなんとかしろと泣き付いてきます。最終的にカネ(=材料の無償提供)で解決することになるのですがそれまでの折衝もかなり厄介で材料を売れば売るほど嫌になってきます。本文中にもありますが全てを抱え込んで思い悩む人はマジでやめといたほうがいいです。交渉相手がアレな場合も多いです (会社や上司も担当者責任として逃げます)。私はそれでうつ病になり他の仕事をしても長くは続かなくなりました。