ハウスメーカに勤めていた時にお客さまから聞かれたことがあります。
「おたくの会社は自社施工なの?」
まあまあ大手のハウスメーカーにいましたが
「本体工事については自社施工のケースが多いです。」
とあいまいな返事をしていました。
大手ハウスメーカーは完全なる自社施工ではないからです。
一体どういう事なのか。
そのあたりを書いていきます。
完全自社施工は本当にメリットがあるのか
家を建てるのに自社施工していますというとなんとなく安心感がありますね。
「当社は自社施工していますので安心ですよ。」と言われて別の会社は自社施工ではありません。と言われるとちょっと不安になったりします。
ちょっと待って下さい。自社に職人(大工)がいることが=安心というのは、はっきり言って違います。
そもそも住宅を建てるにあたって必要な業者、業種はどれだけいるのでしょうか。
測量士、地盤調査会社、土木工事、基礎屋、瓦屋、大工、外壁業者、設備屋、電気屋、水道業者、ガス業者、クロス屋、カーテン屋、左官屋などなど。
少なく見積もっても10種以上の業種があって初めて家は建ちます。それぞれの業種を上手に管理をしながらスケジュール通りに、綺麗な納まりで家を建てることが本当の価値がある住宅メーカーです。
自社施工ですよ。と言っている業者のうちほとんどは大工さんだけが自社である。自社で職人を数名抱えているけど外注も使っている。というケースで自社施工と言っている場合が多いでしょう。
中には言っているだけで自社に職人がいないという嘘もあるかもしれません。
大手ハウスメーカーでも指定工事店という形で外注を使っています。もちろん会議をしたり、研修など受けマナーや技術を学んでいるので外注といってもかなりしっかりした業者が多いです。
また価格面に関しても完全に自社にて施工をしようと思うと上記の技術を持った担当を雇用しなければなりません。例えば基礎をするのに5日間かかるとすると月に4~5件は現場が必要となります。設備を入れるのに3日間とすると月8現場、8現場こなそうとすると基礎担当は2組、8現場に対して大工が8人、もしくは16人と必要となり、会社の規模が大きくなればなるほど業者を抱え込まないといけなくなります。
人件費、経費は膨れ上がりますし、そうなると施工費用にも影響が出て高くなってしまいます。一括で施工をして管理してという事も安心の一つではありますが、価格面、もしくは着工時期、完成時期に関してはデメリットが出ることの方が多いです。
自社施工よりかは自社管理・責任施工が大事
家を建てるにあたって自社施工であるというメリットはあまりありません。
価格的なことも要望の完成時期に関しても融通が利きづらい事の方が多いです。
こだわりがあって全て自社でやるけど待っててもいい、価格が少々高くてもいいという事でしたらいいと思います。
外注でもしっかりと管理が出来ているのか、現場は綺麗か。価格はどうなのか。材料の品質はどうなのか。保証期間は長いのか。見極めるべきポイントはたくさんあります。
責任を持って最後まで施工をしてくれるのか。万が一にも倒産した後でも工事はしてもらえるのか。といったところも気になります。
自社施工であるかどうかはあくまで選考の一つの要素としてとらえるくらいが良いかと思います。
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